結婚式の直前に“ガン”。子宮頸がんの真実を描く映画『いのちのコール』

子宮頸がんとは、女性特有のがんの1つで、乳がんに次いで第2位の患者数を占めている病気です。日本の年間死亡者数は3,500人。1日に約10人が子宮頸がんで亡くなっているのです。特に20?30代の若い女性に急増している子宮頸がん。性交渉のある男女であれば誰でも感染する可能性のある病気です。

子宮頸がんは、若い人にとってはまだあまりなじみのない病気かもしれませんが、非常に恐ろしく、本人にとっても周りの人にとってもつらい病気です。そんな子宮頸がんのリアルを描いた作品が、映画『いのちのコール』です。

映画『いのちのコール?ミセスインガを知っていますか?』

《あらすじ》

主人公は、安田美沙子演じる女性・たまき。結婚前の同棲を始めようとしており、幸せに満ちていたそんなある日、下腹部に強烈な痛みを覚え、婦人科へ行くと、子宮頸がんであることを告げられる。「子宮と卵巣のすべてを取り除きます。残念ですがお子様はあきらめてください」と。

32歳のたまきは、人生の最後に大好きなラジオ放送のDJマユミの番組に電話をかけることにした。マユミは長年のDJ経験の勘で、たまきが自殺を考えていることを察知し、何とかして自殺をとどまらせようとする。「子宮頸がん=遊びすぎの病気」という偏見から夫から逃げられ、職場も退職に追い込まれていたたまきに、マユミは、同じように子宮頸がんで苦しむ患者からの励ましの声を聞かせた。

その後のたまきと夫・高志の結末は、ぜひ作品を見てほしいと思います。

■作品ができたワケ

作品ができたワケ
この作品の企画者である渡邉真弓さんは、2009年に子宮頸がんを発症し、病気と闘いながら“検診の大切さ”と生きることの素晴らしさを伝えたいということで、映画化を企画されたそうです。

「子宮頸がんは女性の病気ですが、元々は男性が持っているごくありふれたウイルスであるHPVウイルスが性的接触によって感染することが原因です。
また、取材していく中で感じたことの一つに“子宮頸がんに対する偏見が多い”ということです。偏見に苦しんでいる方が多くいるということを知ってほしいです。この作品を通して一人でも多くの方に、子宮頸がんの正しい知識を持ってもらうことができたら本当に嬉しく思います。」と蛯原監督は語っています。

子宮頸がん【検診】の大切さ

この映画で渡邉さんや蛯原監督が伝えたかった“検診の大切さ”。
なぜ検診が大切なのでしょうか。
子宮頸がん【検診】の大切さ
子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部とよばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、普通の婦人科の診察で観察や検査がしやすいため、発見されやすいがんとされています。また、早期に発見することができれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。だからこそ、定期的な検診が大切なのです。

20歳を過ぎたら、2年に1回子宮がんの検診を受けることが勧められています。
月経中でないときや性行為の際に出血したり、普段と違うおりものが増える、月経血の量が増えたり月経期間が長引くなど気に掛かる症状があるときは、ためらわずに早めに受診しましょう。そうすることで早期発見につながります。ぜひ足を運んでみて下さいね。